全日本剣道連盟居合の研究委員会では、居合の生命として、
・抜き付けの横一文字
・止めの縦一文字
・両斜めの袈裟切り
・返す刀
・撃突の一刀
に尽きるとした。
この五つの基本技術をもとにして業が設定された。
また、制定の業は、どの流派の業にもとらわれない、という前提のため、 礼法では、初めと終わりの刀礼の作法については夢想神伝流と無双直伝英信流の作法に基づいている。
ただし、座礼のときの刀の置き方は独自のものである。また、業の動作でも、一本目「前」の振りかぶりを無双直伝英信流と夢想神伝流の中間にしている。
業の名称と想定 [編集]1969年(昭和44年)制定
・一本目 前
対座している敵の殺気を感じ、機先を制してこめかみに抜き付け、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。
・二本目 後ろ
背後からすわっている敵の殺気を感じ、機先を制してこめかみに抜き付け、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。
・三本目 受け流し
左横に座っていた敵が、突然立って切り下ろしてくるのを鎬で受け流し、さらに袈裟に切り下ろして勝つ。
四本目 柄当て
前後に座っている二人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の水月に柄頭を当て、続いて後ろの敵の水月を突き刺し、さらに正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
・五本目 袈裟切り
前進中、前から敵が刀を振りかぶって切りかかろうとするのを逆袈裟に切り上げ、さらにかえす刀で袈裟に切り下ろして勝つ。
・六本目 諸手突き
前進中、前後三人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の右斜め面に抜き打ちし、さらに諸手で水月を突き刺す。つぎに、後ろの敵を真っ向から切り下ろす。続いて正面からくる次の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
・七本目 三方切り
前進中、正面と左右三方の敵の殺気を感じ、まず右の敵の頭上に抜き打ちし、つぎに、左の敵を真っ向から切り下ろし、続いて、正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
1980年(昭和55年)追加
・八本目 顔面当て
前進中、前後二人の殺気を感じ、まず正面の敵の顔面に「柄当て」し、続いて後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
・九本目 添え手突き
前進中、左の敵の殺気を感じ、機先を制して右袈裟に抜き打ちし、さらに腹部を添え手で突き刺して勝つ。
・十本目 四方切り
前身中、四方の敵の殺気を感じ、機先を制してまず刀を抜こうとする右斜め前の敵の右こぶしに「柄当て」し、つぎに左斜め後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに右斜め前の敵、続いて右斜め後ろの敵、そして左斜め前の敵をそれぞれ真っ向から切り下ろして勝つ。
2000年(平成12年)追加
・十一本目 総切り
前進中、前方の敵の殺気を感じ、機先を制してまず敵の左斜め面を、つぎに右肩を、さらに左胴を切り下ろし、続いて腰腹部を水平に切り、そして真っ向から切り下ろして勝つ。
・十二本目 抜き打ち
相対して直立している前方の敵が、突然、切りかかってくるのを、刀を抜き上げながら退いて敵の刀に空を切らせ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。